光井くんの優しさ
光井 新

ちがうの、わたしじゃないの。
光井くんだけは信じてくれるよね?
光井くんにだけは本当のことをちゃんと言いたいの。
恵子なの、恵子が舞の上履きに画鋲を入れたの、わたし、見たんだから。
聞いて、わたし光井くんしかいないの、もう誰もいないの、一人なの。

光井くん、わたしどうすればいいの?
もうわかんなくなっちゃった。
あれから、恵子も舞も、みんなしてわたしのこと無視するようになって、こうやって帰りに光井くんとおしゃべりする以外に、わたし誰とも学校でしゃべってないんだよ。
ねえ、泣いていいかな?
さびしいの、泣きたいよ。
光井くん優しいんだもん。
そんな風に悲しそうな顔してわたしの話真剣に聞いてくれたら、わたし泣きたくなっちゃうよ。

光井くんはどうしてそんなに優しいの?
ねえ、えっちしよ?
光井くんはわたしとえっちしたいから優しいんでしょ?
恵子を使って舞の上履きに画鋲を入れさせて、わたしのせいにしたの、光井くんなんでしょ?
光井くんもさびしいんだね。


散文(批評随筆小説等) 光井くんの優しさ Copyright 光井 新 2010-11-12 16:56:20
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