ひどくプリミティヴな、一連の干渉
真島正人




吸収されるべき衝撃、持たずに
そのままの姿で
やってくる、

点滅するかのような
血の国境線

形を持たない原型で
やってくる、

茜色よりも
深く淡い
夕陽

それを背にうけて

むき出しになり
卵よりも悪臭を
放っていた
いくつもの
群集

群れ、

道筋から
外れながら
逃げていかない
『もの』

童話よりも
硬く
定型文よりも
柔らかい。

感受性が
樹になってしまったので
よじ登った

子供、

子供は
帰ってはこなかった

アスタリスクの、
連続

そんな
子供の中で
作動する機械。



機械。
まるで、

白骨のような。

いなくなった子供の、
皮膚がずるりとむける夢を見た

夢の中の子供だったそれは

骨全部

機械そのもの

だめだ

もっと

気前の良い記憶に戻ろう




白線を引き過ぎた
教師が
校庭にまだ残っている

彼の体は
影から順番に
解けて塵になり

昨日の朝、すべて解けたけれど

まだ残像が
残っている

入れ違いになりそうな朝
磨きすぎた歯に
刺青を入れるのを忘れて

大きな水槽を抱えたまま
通勤列車に乗った

水槽の中の魚たちは
水の中でも空気を欲しがり

それら、
空気と呼ばれるものは
むき出しの刃で
彼らと
拮抗状態

空気が、
突き抜ける
まったく
完成されたものが
現れては消える

それがうれしかったので
列車に揺られる間
ずっと

水槽のことを
考えていた

……単純なものなどは
どこにもない
透明でありながら
不透明な
あり方ばかりを
すべての物質が
選択している
けれども
干渉は
原型そのままで

やってくる
やってくる

だから僕は
水槽を
爆弾にして抱えているのだ



自由詩 ひどくプリミティヴな、一連の干渉 Copyright 真島正人 2010-11-11 23:56:46
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