すべてに名前を与えるなら
遠藤杏

滑稽な姿ばかり写しては取って夜の中
などもう恐れることはないとそう言っては
話を続けることができない時間の真ん中

思うことは
針のように細い光の角度を
何度も見つけては消え
掴んでは投げて
一体言葉の先端はどこにあるのだろう

一滴だけ
シロップを飲んだら
血管の
隅々まで染みていった
色の混ざりあうところ
力が分散する瞬間重なって散らばった

3分後

触ってみる触覚の先
ビニールの空気
風を吸って
不可解な動きでゆらゆら吸い込まれて

もう一度
言いたいことがあったような気がするんだけど
それを噛み砕いて
飲み込んだそれを
わたしは何と呼んだらいいだろう
名前をつけてあげる



自由詩 すべてに名前を与えるなら Copyright 遠藤杏 2010-11-11 00:17:52
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