細くても勁（つよ）い芯に
四枚の葉が大きく広がっている
四つ葉のクローバーの形は調和と安定の象徴
故か
かつて飛行機のすべてにプロペラがついていたころ
最終的に四枚羽が理想とされ
それ以外の数のプロペラは衰退した


一面のクローバー畑から四つ葉のクローバーを見つけ出すこと

が

得意だった　あなたが居た


にわか雨に濡れた草むらから
四つ葉のクローバーを見つけ出して
僕の手に握らせてくれた
スカイブルーのカーディガンに
透き通った雨粒がいくつも並んでいた
不可逆の運命に直面した子供たちの
天使（きぼう）であることに疲れ切っていた
四つ葉のクローバーを探すために
故郷に戻ってきていると知った

シロツメクサの咲く草むらを
幼いきょうだいふたりが駆け回っている
あなたとふたり　並んでみている
四つ葉のクローバーの形は調和と安定の象徴
ふたりがともに
幼いきょうだいたちの天使になれるよう
並んで夢を見ることが出来て
しあわせだった

探しているんだ　みんなして
たった一枚の葉っぱでは風に当たる部分の疼痛が酷くて仕方ないから
時に　しかめっ面をしながら
時に　濡れて泣きながら　
不可逆の運命に直面した子供たちの
天使であり続けることを最終的に選択したあなたは
四つ葉のクローバーを小さな手に握らせて
大丈夫だよ　って
背中を優しく抱いているに違いない

大きな雨粒が轟音を立てて降り
まとわりつく湿気が気持ちの悪い
京（まち）に夏がやってきた
そして僕は思いを馳せた
真新しいショップモールのある交差点に
年の若い　女の子達が吹きさらしの中看板を持って立っている横を
高給セダンに乗って颯爽と通り過ぎる老人達に
世知辛さを覚えながらも
四つ葉のクローバーを
さがしている