午視
木立 悟







行方満ちる目
未明ひとつ触れ
踊りかなしく


ひと呑みひと呑みが
耳につもり
うなじを下り


冬の馬が削る
原 崖 丘
かけらを ふりほどいて


枝の影が筆を落とす
拾う間もなく描いている
立ち尽くし にじんでいる


朝も午後もただ馳せるのだ
昼しか射抜けぬ昼を擁いて
こみ上げる手のひらをさらすのだ


慈悲の失い光の劇が
曇うつす屋根にひらかれて
たくさんの拍手 まばらな視線


左の頭のうしろを歩む
夕闇ひとつ つまんでは置き
誰も居ぬ階段は華やいで


穴のそばには穴うめるもの
かがやくものをふたつ残して
どこへゆくどこへゆく花びらの曇


知らない数字を風に置いた
だが手紙にはなりそうにない
この響きには影が要るから


雨の数だけ雨が在り
見つめるものを見つめ返す
むずがゆく まばたきを促しながら






















自由詩 午視 Copyright 木立 悟 2010-11-03 10:09:39
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