因果
アラガイs


親子で罵りあいの口げんかした後は脳みそがカラのまま膨張したみたいで
このまま大見得を切って飛び出してやりたいと思うのだけれど
空を見上げれば虚しくて
大地はちっともわたしの味方をしてはくれない
なんだか胸のなかにまた汚臭袋を抱えてしまったようにムカムカとするばかりで
なんでこんな人の元に生まれてきたのかと情けないような悲しいような
そんな苛立ちも一日一日と過ぎてゆけば忘れてしまう自分に今度は腹がたってきて
からだをさすらう血の巡りがどんどん腐敗した重油のように濁っては溜まるから
わたしの細胞がまた捻れたまま因果の枝先を蔓に絡まりながら
こんなにつまらない人生を弱い力でふりしぼって生きていかなけれならないのはあなたの所為だよ
と言ったところで木霊の様に自分に返ってくるのはわかっているからカラッポな脳みそはいっこうに働いてはくれず
‥つまらない事はないよ‥
と幾度か声をかけてくれた人もわたしの見えないところで
鉛色の空を射し込む光りの帯を見上げては物陰に悲しい顔色を隠すから
消えては生まれる細胞の血なんて結局クローンのように元の姿のままで再生されるのだと
災いをもたらす血の繋がりなんて断ち切りますと大見得を切ったところで口元の歪みは反省などと氷の上を滑るように忘れてしまう
それは類人猿の時代より七つの大陸を駆け抜けてきた空っぽな脳みその赤い糸も
たとえ一族の誰かが滅び去ろうとも億万の細胞のどれかひとつはまた受け継がれながら
新しく生まれた誰かの血の絆はテレパシーの回路が直流から交流を目指してショートするようにその空の色を見上げては虚しくなる自分の脳を振り返るとき
それでも 目に見える世界は美しく 陽を浴びながら人類はみな兄弟のように支えあい繋がり幻想か現実の旅を零れては
ひとつまたひとつと絆の結晶は増やされてゆく のか






自由詩 因果 Copyright アラガイs 2010-11-02 14:26:32
notebook Home 戻る