白い黒ヤギ
たもつ

 
 
きみの肩こりが酷い満月の夜
ぼくは錆びた味のみかんを食べてる
朝からコタツがあり得ない
それでも決して負けはしない
ぼくは白い黒ヤギ
 
自由を求めて飛び跳ねる
自由の意味もわからないまま
海も、砂漠も
ビルも、メガネも
全部跳び越えてみせる
わたしをこのまま奪って逃げて、なんて
演歌ですか、きみは
そう言うぼくは
空も飛べない白い黒ヤギ
 
だからいっぱい階段をつくって
あの満月まで
きみを奪って逃げていく
だからしっかりしがみついて
振り落とされたら音が寂しい
 
そしてあの煌々とした光の中
肩を揉んだり
息を吸ったり
息を吐いたり
 
見たものすべてに
名前を付けたり
泳いだり
泳がなかったり



自由詩 白い黒ヤギ Copyright たもつ 2010-11-01 22:16:45
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