ほのおがきえるまで
松本 卓也

夜空に視線を移さなきゃ
涙が零れるのを隠せやしない
本当に孤独という奴は
どうしても現の後に訪れるのやら

生きているその理由を尋ねられれば
永遠で無限の静寂を恐れるからと答えよう
早く終わって欲しいと願いながら
ひと時の眠りに誘う酒を求めて

請い願う赦しの時
どうか楽にさせてください
もう寂しさに耐えられるほど
心を強く持てないのだから

無表情に逃げていく後姿
言い訳を連ねて笑いあう言葉
どの足元を探っても真実は落ちていない
ただ嘆く夢と現実と一人きりの懺悔
身の上に降り注ぐ憐れみ

ぽつんと背中に垂れている

永遠の解放を願いつつ
永久の虚無を恐れつつ
ただ温もりが欲しいだけ
ただ優しさに抱かれたいだけ
ただ解って欲しい
解ろうとして欲しい
手を差し伸べて
静かに強く
握り締め

泣いて
笑って

抱いて
愛して

讃えてくれれば
それだけで空の彼方
一人でも行けるから

嘘偽り取り繕う辞令でも
何でも良かったんだ
嬉しかったから
涙が出そうだったから

どうか消えて亡くなるまで
もう少ししかかからないから
このヘボの存在を見ていて

煙が消える直前に
炎が青白く瞬く
見ていてくれれば
踏みにじってくれれば
ただそれだけで構わないから


自由詩 ほのおがきえるまで Copyright 松本 卓也 2010-11-01 22:08:16
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