光陰
さき

イエローサブマリン
を聞いていた
煙の向こう
私が生まれる前の出来ごとは
当然知るはずもなく
知らないことだけが
美しいのだと
信じていた
あの頃
私たちは若かったのか
知ったかぶりをする者と
ただ無知であることを誇る者
確かにお似合いだったのだろう
誰かが言った


カラカラと
音を立てて
季節は過ぎていった
扉はまた閉まる
私は閉まる音で漸く
過ぎたことを知る


暖かい貴方の
胸を思い出す
始まり
もうすぐ
雪が積もりだす
ベランダ
あの日々の全てが
もはや陽炎
珈琲に落とす
ミルクにもならないから
今日この瞬間にマグカップを捨てよう


そういえば
聞かないCDが
空気がないこの部屋の片隅で
無限の音を奏でている
正直にいえば
私には興味がない
星の光も
花の色も
貴方が大好きだといった
あの外国の歌だって


誰が何と言ったって
答えを求める私にとって
この世は無意味だ
そしてこんなにも無力
止めたいと願っても
ここで終わりたいと思っても
そんなの出来ないのに
それでも無限なんかない
在り処なんかない
行き先なんか分からない
だからこそ
こうして
繰り返す


恋を止めることなんか出来ない
涙を枯らすことなんか出来ない









自由詩 光陰 Copyright さき 2010-11-01 20:56:28
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