素直になれなくて
涙(ルイ)
私にやさしくしないでください
やさしくされることになれていないものだから
胸のあたりがやけにこそばゆくて仕方がないのです
私にやさしくしないでください
あなたにやさしくされるたびに
それに見合う人間でないことを
これでもかと思い知らされてしまうのです
私にやさしくしないでください
私なんかにやさしくしたって
あなたには何のメリットもないのですよ
私はあなたに何をお返しすればよいのでしょうか
私にはあなたに返せるものなど何もないというのに
あなたにやさしくされるたびに
なんだか申し訳なくて申し訳なくて
あなたといると
自分が何もできないことを
これでもかと思い知らされてしまうのです
こんな存在 いなくてもいいじゃないか
いないほうがホントはいいんじゃないか
ひとりになると そんなことばかり考えてしまうのです
あなたがもっと冷たい人だったらよかったのに
もっと意地の悪い人だったらよかったのに
そしたら私だって
こんな思いすることなんてなかったのに
あなたを責めているのではないのです
あなたは何も悪くない
悪いのはすべて私なのですから
私のこの 捻じ曲がった性格のせいなのですから
本当に あなたは何ひとつ悪くないのですから
ああ 何故に私はこのような性質なのでしょうか
正直なことを云えば
今すぐにでも あなたのもとに飛び込んでいきたいのです
きつくきつく抱きしめてもらいたい
だけど私には それをどう伝えればいいのかわからない
こんなに愛しいと思っているのに
人を愛する方法がいまだによくわからないのです
怖いのです
いつかあなたを壊してしまうのではないかと
いつかあなたから
大切ななにかを奪ってしまうのではないかと
だけどホントに本当は
あなたがいつか 私から去っていってしまうこと
置き去りにされるのはもうこりごりだから
深入りするのが怖いのです
だからどうか 私にやさしくしないでください
あなたがあんまりにもやさしいものだから
私 こんなに弱虫になってしまいました
だってやさしくされるたびに
消えてなくなってしまいたいだなんて
あんまり哀れすぎて
笑うこともできないでしょ
いっそのこと嫌いになってしまえたら
そんなことを考えたりもしてしまいます
なんて罰当たりなことを考えているのでしょう
こんな私をあなたは
好きになってくれたというのに
だからどうか
私にやさしくしないでください
どうかこれ以上 私を泣かせないでください
ダメな私を
どうかこれ以上 目の前に突きつけないでください
一番好きになったあなただから
最初に好きになったあの気持ちを
ずっとずっと持ち続けていたいのです
わがままばかりの私を
それでもあなたは
やさしく受け入れてくれちゃうのでしょうね
ずるいですよね私
それが解っていて
そうなることが解っていて
こんなことを云っているのだから
もっと素直になりたいよ
かわいい女になりたいよ
いつまでも卑屈に笑うばかりじゃなくて
あなたをまっすぐに見つめて微笑みたい
こんな私を
好きになってくれてありがとう
こんな私を
見つけてくれてありがとう
心から云います
恋しいあなた
愛しいあなた