♯2番線列車
朧月

今日も君は
大型の想いを飲み込みながら歩いてゆく
そんなには無理ではないかと
私の心配に気付かず通り過ぎる

ホームにつくと開いたドアの中に
ぎっしりヒトがつまっていたから
後ずさりしたとたんドアは閉まった

次の電車は

振り返って過去へゆきたくなる
反対側のホームです
とアナウンスがはいる


へゆこうとしたけど
出勤時間だから
売店で潮の香りだけを買う

プシュ
あけた缶から
憧れのあおいあおい海が
のぞきこもうとして
プルトップにひっかかって

黄色い線までさがって
さがって押さないで

がったん
今日も私の乗る電車は
しごく真面目に
目的地まで迷わず走る

ほんのわずか
車窓から
迷いをにじませた
枯れ木が舞っている



自由詩 ♯2番線列車 Copyright 朧月 2010-10-30 09:46:11
notebook Home