秋の夜長に歌ううた
恋月 ぴの
明日はきっと晴れるよね
そう願わずにはいられなくて
ふと手を休め振り返る
自由気ままに暮らしてきた日々
愚痴っぽくなってみたり
ときには人恋しいくせして無口になってみたり
甘えん坊さんなのは判っているよ
でもね
その場しのぎってわけじゃないけど
あなたに想いを伝えられなかった後悔の念と
ひとりぼっちで仰ぎ見る秋の夜空は
絶え間なく行き交うヘッドライトの喧騒に揺れ
ポケットのなかで探り当てた温もりは
かけがえの無いほどに優しげな手触りだったのに
使い古しの雨傘じゃ、しのげるものもしのげやしない
日々伝えられる悲しみに涙したところで何になろう
日々伝えられる理不尽な出来事に憤ったところで何になろう
何ひとつ変わらない
変えようが無くて当然なんだと気付いたとしても
感傷まじりな夜の眼差しは
遥か遠く旅立ってしまったあなたへの想い