春待ち暮らし
プル式

妻は月に一度か二度
四、五日ずつ実家に帰る
その度に
暗い家に帰る度に
僕は何故ここに居るのかと問う
知らない土地と言葉
何をして居るのかと問う
湿気を吸い込んだ紙の様に
心が少しずつ朽ち始める

ああ、そうだ
妻と子が健やかであらんと
そうだそうして選んだのだ
詫びるのは私か

意外な自分の弱さに笑う
今私は私の描く自画像の様に蒼白なのだろうか
それとも最後の意地の様に平静を装っているのだろうか
笑顔のまま玄関でお帰りを言う事がお帰りだろうか
それとももう行かないでと言う事がお帰りだろうか

窓の外には秋の終わりを告げんと風が吹く雨が降る
冬を越えよう
冬を越えるのだ。


自由詩 春待ち暮らし Copyright プル式 2010-10-25 14:57:44
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