給仕
たもつ

 
 
ほの暗い飲食店で
たった一人食パンを食べている
六枚切り位の厚さだろうか
食べ終わると給仕が来て
新しい食パンを置いていく
本当はご飯の方が好きなのに
運ばれてくるパンばかりを
延々と食べ続けている
生きるために食べているのか
死ぬために食べているのか
わからないけれど
たとえ生きていても死んだとしても
それは結果でしかないのだろう
口の中の水分が奪われ
喉が渇く
せめて牛乳くらいは欲しい
でも牛乳を飲むと
腹を下す癖が今でもなおらない
次のパンが運ばれてくる
暗い店内で給仕の顔はわからない
ただぼんやりと見える狭い背中は
かつて見たことがある
自分の後姿によく似ている
 
  


自由詩 給仕 Copyright たもつ 2010-10-24 18:09:22
notebook Home