愛が日だまりの中へ………
ヒヤシンス

森の中の喫茶店で僕らはささやかな食事をする。
木々の隙間から日が差し、妻と子供の顔を照らす。
影の中から浮き出た顔は幸せに満ちている。
愛が日だまりの中へ溶けてゆく。

湖畔の小さな美術館、僕らは疲れてベンチに座る。
永遠の恋人達の僕らを迎える眼差しは優しい。
今や絵から飛び出して、幸せの空間で微睡む。
愛はどこにでも転がっている。

あの日、完全なる善と美を求めてさまよった回廊。
心の封蝋が溶けた今、僕らは緑の中にいる。
山の稜線がくっきりと浮かび、小さな秋の訪れを待つ。

緑の中の妻と子供はまるでマリアと天使のようだ。
思わず僕は涙ぐむ。
まだこの世の中には愛と優しさが存在するのだ。


自由詩 愛が日だまりの中へ……… Copyright ヒヤシンス 2010-10-23 18:49:00
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