眠り薬
森の猫

この3週間
あたしは
貴方から離れなかった

出張の時以外は


南の部屋で打撃を受け
北の部屋へ泣きついた

さらけ出す
情けない みっともないあたしを

ごめんなさい
ごめんなさい

こんなあたしを
許してください
どうか殴ってください

貴方は

 痩せたな
 ケガの功名か

低い優しい声でそっと
一言

そして
ぽん ぽんと
あたしのくびれた腰をたたいた

 泣いてもいい?

あたしは
さめざめと泣いた
熱い熱い涙が
つぎから
つぎから
頬をつたう

もう言葉はいらなかった
20年以上も近くで
互いを見合ってきたのだ


じっと見ていてくれたのは
貴方
しずかに しずかに

あたしのことを
我慢強く 
確かに

もう
眠り薬はいらない

貴方の匂いに包まれて
毎日 
眠りにつくから

眠りにつくから・・・


自由詩 眠り薬 Copyright 森の猫 2010-10-23 18:08:10
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