小春日和(仮)
沙虹

持っている数枚のカードを
並べて、切って、貼って、繋ぎ合せて
羅列を乱して
新しい言の葉の羅列を作る
枚数は限られている
枚数は限られている
    *
タータンチェックのマフラーが棚引く流線型の午後。
常緑樹の葉叢に紛れ頬杖をつくアンニュイな蟷螂。
冷えた耳たぶからこぼれ落ちたアルペジオ。
斜陽の光を身に受けて連なる秋茜。
今日は鮫の餌になるには持ってこいの日。
    *
20世紀を駆け抜けたボロいレシプロが
南氷洋上で消息を絶った日
薄暗いターンテーブルの中央に独り佇んでいた
(光が差し込む)
庫内に吹く風は次第に熱を帯びてゆく
(くるり)
反時計廻りを幾度も繰り返して
チンとブザーが鳴った
    *
書きたい。何を?
Was weiss ich!
(私の知ったことか!)
脳髄の白いプランターに寄せ植えられた
紅い花と青い花の秘めたル囁き
メイルシュトローム、特大の洗濯機にかき混ぜられる
永久と刹那のかへ・らて

ひっ掻きたい。何を?
Was weiss ich!


自由詩 小春日和(仮) Copyright 沙虹 2010-10-23 08:39:32
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