ゆめ風船ー風船3
……とある蛙

風に吹かれた風船は
ゆらりゆらゆら
中空に ゆらりゆらゆら
浮かんでいる。
そのまま天に向かうのか
それとも萎んで地を這うか

風に吹かれた風船は
幼いころの夢に似て
ゆらりゆらゆら
定まらず ゆらりゆらゆら
浮かんでいる。
そのまま大きく膨らんで
風に負けじと膨らんで

そのまま膨らむ風船に
こんなはずでは無かったと
手で掴もうと背伸びして
こんなはずでは無かったのだが
その手を擦り抜け上昇し
空に向かって上昇し、
本当はすぐ地を這った。

針を刺したのは誰なのか
気づきもせずに
地を這った
本当は端(はな)から穴があり
それに気づかず膨らませ
なかなかそれでも気づかずに

それを知らずに上を見て
一生懸命探したが
空気の抜けた風船は
今の自分の夢に似て
どんどん萎んで地に落ちた。

それを隠して照れ笑い
素知らぬ顔で生きている

心の中の風船は
萎んだままで穴が開き
もう膨らむことは無かったが
2度と膨らむことは無かったが

代わりに何かが膨らんだ
代わりに何かは重いもの
それを抱えて歩いてる
死ぬまで抱えて歩いて行く。
 


自由詩 ゆめ風船ー風船3 Copyright ……とある蛙 2010-10-21 16:29:29
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