あてのない生殖
西日 茜

君が生殖本能からくるアプローチを好むのは
機能を満たしたいという欲求からで
私の子宮はそれを受け入れようと氾濫するので
剥がれ落ちまいと壁を厚くしている
そのせいでここ半年間は不調に悩まされ
体中の血液を総動員してまで
この愛を完結させようと必死になる
理性とは裏腹の黄金律を奏で鳴り止まない
たとえそれが間違っていようと
誰かを傷つけることになろうと
DNAのシグナルは忠実な創造を望む
完全なる愛の結晶を生むのだろう
もっと早く出会っていればよかった
永遠に誓い合うこともできたのに
今は…
剥がれ落ちる瞬間の絶望の海を
そしてまた訪れる生温い排卵の海を
あてもなく漂い続ける


自由詩 あてのない生殖 Copyright 西日 茜 2010-10-21 00:37:32
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