浜辺に腰掛けて夕陽を見ている
……とある蛙

大きな夕陽の中に
君の背中が逆光に
振り向かない君に
僕は問いかける

人生はこんなものなのか
CTでスキャンすれば
楽しい時もあった
輝かしい時もあった
苦しい時もあった
惨めな時もあった
わくわくする時もあった
幻滅する時もあった
脅えた時もあった
傲慢な時もあった。
優しい時もあった
残酷な時もあった

しかし過ぎて見れば
川の流れに転がる小石を
一つ一つ眺めるようなもので
行き着く先は
大きな大きな大海原で
何もかもがあって
何もかもが見えず
ただ青い海と静かな白い波頭しか見えない

無言だった君は一言いう

こんなものだったのか

過ぎて見れば一瞬の出来事で
生まれた時から爺だった
何年経っても子供だった
あの時と何が変わったのか
あの時と何が止まったままなのか

空にはいろいろな顔が渦巻いている
笑っている顔
泣いている顔
怒っている顔
輝いている顔
しょぼくれている顔
叫んでいる顔
黙っている顔
素知らぬ顔
困っている顔
どの顔も全部自分の顔なのだが
すべてが微妙に歪んでいる



自由詩 浜辺に腰掛けて夕陽を見ている Copyright ……とある蛙 2010-10-18 10:04:25
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