オンボロアパートの独白
さつき

まっしろなノートを脳内に広げ

インクの切れたペンを端に置く

そしてそうっと目を閉じた僕は

誰かが喋ってくれるのを待つの

僕の中には何人かが住んでいて

僕はオンボロのアパートなんだ

カラスがお月さまを呼ぶ頃には

いろんな話し声が聞こえてきて

うまく聞き取れるものもあれば

外国語のような言葉もあるけど

僕は全部理解できるはずだから

ちゃんと脳内に焼き付けるんだ

辞書も新聞も役には立たないよ

本はちょっと知ったかぶりする

アドバイザーには向いていない

そう言っても知らんぷりしてる

僕の脳内に様々な声が溜まって

引き出しに小分けにしまえる頃

やっと僕はインク切れのペンで

ちょっとスカシタかっこうして

作家とか詩人だとかを気取って

眉間にしわを寄せてみたりして

こうして書き出すわけなんだよ

僕の中の人たちの話した言葉が

僕の外の人たちの聞ける言葉に

なればいいなあなんて思うけど

僕は、うん、よくわかんないや



自由詩 オンボロアパートの独白 Copyright さつき 2010-10-17 23:35:14
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