夢みるキノコ(非食用)
朧月

夢みるキノコがはえていた
山の奥深くのじめじめ谷に
夢みるキノコはおかっぱで
ひざすりきれたジャージの娘

夢みるキノコは暗闇で
ラジオをきくのがすきでした
朝のぶさいく覚悟して
まくら仕様できいていた

夢みるキノコはキノコだから
いつかマツタケみたいに
スペシャルになれるって
信じていた

夢みるキノコはいつまでたっても
ただのキノコだった
食えないキノコもあるって知ったのは
登った山ででした

夢みるキノコは採られないで
キノコ狩りのおばさんをみつめてた
そうかあたしは食えないキノコなんだ
ずっと食われないんだ

夢みるキノコはいつしか
大きな傘を広げ
じめじめ谷から発信した
世界はキノコのためにあると

夢みるキノコは食えないキノコ
絶滅した村の上の
山にはえて今もしっかりと
大地に根付いています



自由詩 夢みるキノコ(非食用) Copyright 朧月 2010-10-13 15:17:18
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