ある工場で
番田
鋼鉄の固形燃料は
鋼鉄の中の頑丈さを粉砕した 酸化ガスである
固形燃料を車の内部から粉砕し
ぶったぎった 外装を 私は睨みつけた
私の意図した形態の現在として 照らし合わせた
アメリカのロッキー山脈の面影など欠片も無いデザインだ
完成予想図とは いつも真っ白なノートの空論だ
真っ黄色な色に輝いた神様を拝んだ
雨という涙は 空の中からこぼれ落ちたような 赤子だ
汗の涙は 鋼鉄を解体させた工場作業員たちからだ
労働者の機敏な動作すら微動だにしないハンドルで
ロシアから買い付けてきた手袋をはめ込んだ 私は
岩石に見えた塊をぶったぎった しがない板金工だ
今日もオロナインを塗りこんだ 工場の片隅で自家用車を作る
溶鉱炉を 汗の涙で練りこんだ 私は期間契約従業員だ