ある工場で
番田 

鋼鉄の固形燃料は
鋼鉄の中の頑丈さを粉砕した 酸化ガスである
固形燃料を車の内部から粉砕し
ぶったぎった 外装を 私は睨みつけた
私の意図した形態の現在として 照らし合わせた


アメリカのロッキー山脈の面影など欠片も無いデザインだ
完成予想図とは いつも真っ白なノートの空論だ
真っ黄色な色に輝いた神様を拝んだ
雨という涙は 空の中からこぼれ落ちたような 赤子だ
汗の涙は 鋼鉄を解体させた工場作業員たちからだ


労働者の機敏な動作すら微動だにしないハンドルで
ロシアから買い付けてきた手袋をはめ込んだ 私は
岩石に見えた塊をぶったぎった しがない板金工だ
今日もオロナインを塗りこんだ 工場の片隅で自家用車を作る
溶鉱炉を 汗の涙で練りこんだ 私は期間契約従業員だ


自由詩 ある工場で Copyright 番田  2010-10-12 02:23:58
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