業火
森の猫

後ろから
脳を一撃された

と同時に
ウィルスも
身に入る

悪寒がはしり
発熱する
リンパはパンパンに腫れ

首から上ばかりが
熱い

ぐらぐらとしためまい
脳の中は
ボールペンで
真っ黒にぬりつぶした
ノートのページのようだ

ぐるぐる ガンガン
脳は機能を停止しかけ

言霊を浮かべると
激痛をあびせる

口の中も火のように熱い
身体を温めようと
食べたもので
喉まで焼けた

ついには
冷たい液体だけが
かろうじて通る

ベッドに横たわっても
続くめまい

昼も夜もわからなくなる
ウィルスが焼き尽くすまで

眠る

業火に焼かれるような
激痛を
たしかに
うつろな脳で感じ

それでも
いきていく未来に
かすかな
想いをはせる

かたわらにいる
貴方は
つよく
手をにぎって
くれた

痛いくらいに

あたしは
また

眠った


自由詩 業火 Copyright 森の猫 2010-10-09 00:08:31
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