陽だまりのひと
恋月 ぴの

「ばかものよ!」

なんて言い切れるなら良いのだけどね

「もしかして」

そんな枕ことばで思いの丈をごまかしたり
まるで何事も無かったかのように
飼いはじめたばかりの小鳥の世話を焼いてみる

人生ってさ、長いようで短いんだ

それを誰かのせいにするのは簡単だけども
自分のせいだとは口が裂けても言えなさそうで

鳥かごのなかってほんとは幸せなんだね

ひなたに出した鳥かごのなか
小鳥は機嫌よさげにさえずっている

幕ぐらいは自ら引きたいものではあるけれど

「ばかものよ!」

そう言わない冷徹さと
言い切れない優しさ

小鳥のか細い脚の冷たさ、手のひらに伝わってきて
ひとりでは生きることも死ぬことも叶わず


それ故、ほんのりと甘い香りと首を傾げる小鳥の翼





自由詩 陽だまりのひと Copyright 恋月 ぴの 2010-10-04 20:04:09
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