ツララ
山人

ローカル線のまだ暗い無人駅
駅舎から少し離れた作業小屋
中ではストーブが赤々と燃えている
長靴についた雪はとけてゆく

庇には
外灯に照らされたツララが生っている
ほの明るいオレンジ色を
透明な胎内に蓄えている
視線を動かすと
オレンジ色の命は輝き
動いた


早朝の外はまだ暗い
早朝仕事のあとの
一服時の作業小屋

中では若い監督さんが無心にスマホを見ている
これからの人
これまでの人
が入り混じった
作業小屋の温度と
おもいが攪拌され
外に出され
凍る

ツララは
濡れひかる妖しさと
輝き切る頑なさを保ち
粉雪の舞う中
凛々とオレンジ色を輝かせていた


自由詩 ツララ Copyright 山人 2010-10-03 19:32:27
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