風を待つ
サカナ

嵐のいった後はいつも
いろんなものが電線に引っかかっていて
奇妙な陰だとか
擦り切れた音だとか
さっきまで巻かれていた自由なもの
全部
西日を受けてしなだれている

多分みんなが
風にのっかって飛んでいきたかった

から
飛ばされていく匂いを
引きちぎられていく色を
それはずるいでしょうよ、と
平等主義の電線が
ひっつかんで許さないのだ

雨上がり
間抜けに吊るされて動かない、フリーダム
それを見て
わたしは喜ぶ
みんなが微笑む
彼らは遠くの国を知らない
いつも同じ場所で
次の風を待ち続けている


自由詩 風を待つ Copyright サカナ 2004-10-20 20:46:03
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