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コーリャ
自動販売機のコイン投入口に
すいこまれていく女の人をみた金曜日の夜
ポッケの底のおつりの枚数をかぞえていた
裏面をやさしくなぜながら
口当たりの良い絶望味のコーラをぐびぐびのんだ
昔乗用車といわれていた残骸に
昔生きているといわれていた骸骨がのっている
果物と野菜の芳香を煮詰めに煮詰めた
グルグルグルグル/夜みたいなくさった色だった
ぼくたちはそんな色だった
京都タワーのてっぺんにのぼろうぜ
月がいちばん近くなる時間に!
そしてキリストみたいに両手をのばしたら
ぼくたちは小さい時絵本で見た
怪鳥になれるんだぜ
いつからかあなたを追跡する自転車たちがいる
あなたは振り向く
それは家族だ
おとうさんとおかあさん
そしておとうさんにのおねえさんと
やっぱりおとうさんにのおとうとが
背筋をぴっしっとのばして
(それはまるで氷像みたいに)
自転車をこいでいる
あなたは挨拶をする
そして無視される
家族はみんな黙っている
自転車をこいでいく
あなたをかろやかにおいこしていく
ちょっくら月の裏側まで心中しにいくみたいだと
あなたはおもった
透明な駅に透明な列車が走る透明な線路がひいてあってそこの透明な終点にある透明なあなたの透明の家にいってしまいたい
言葉の川が白光の波をたてながらながれている
あそこには
美人のあのこがあり
不在がある
愛がある
きもちいいことがあり
ウォッカトニックがあり
ビリヤードのナンバーナインの球があり
カラオケだってあるし
美人のあのこの顔があり
タモリの顔があり
ブサイクのあのこの顔があり
わたしの顔があり
もう死ねがあり
湖だってながれている
あそこには龍がすんでいる
ガニメデまで通じる井戸みたいな口を
おおきく
お
お
おお
きく
おおおと開けている
たぶんあれはexitだぜ
それでぼくたちのくだけちった心のかけらかけらで
モザイク画みたいになった巨人が
世界をこわしていく
星座が裁断されていくね
思い出がちぎれちぎれ風にまうぜ
セックスが文学がかみなりにうたれる
巨人がくさってる!
みろよ!
ぼくたちの地獄はあんなにも美しいんだ