砂浜のマシュマロ
さだあいか (サダアイカ (aika))

つまづくはずのないところで
足をくじき
恋に
落ちてしまった
わたし
すっかりからまっていて
逃げ出すことも出来ない
あなたの前
ほとんど裸じゃない
ただ、いたずらに
マシュマロを突き刺して
あぶるように
焦がす

笑う
太陽
触ることはできない
膨らみは
空気で出来ているわ
ため息
触れない

円を描く

甘えた
泣きべその水たまりで
あなたは点
目を凝らせば
華麗にバタフライを泳ぎ
砂時計の砂をばらまいて
砂浜をつくった
こちらは見もしない
日光浴をはじめる
まったく気に食わない
そっとつまんで
手にのせると
どこもまんべんなく熱い

手のひらから
ジャンプして
一瞬で消える魔法
水しぶきでぬれて
わたし
ばかみたい
どこにも行けない
くじいた足
しょうがないので
砂時計の砂浜に
小さすぎて無意味なSOSを刻む
こんなの無駄
空からはみえやしない
砂時計の砂浜で
わたし
点ではないし
バタフライも泳げない
私はうたう
うたを
泣いて

熱い
水たまりをさらっても
あなた、どこにも体がないわ
ほらね、やっぱり、あなた、魔法なんだから
みてよ、私、まるで、裸なんだから
やっぱり飛行機なんて飛んでこない
涙の水たまりはいつしか
噴水のような湧き水をさそい
熱を冷ます
輝き
海になって
からまったわたしは
断ち切って進むのだろう
今は熱い砂浜の上
あなたが
海を
バタフライで横切る
まぼろし
いつか私のからまったしがらみが断ち切れたのなら
みつけて
抱きしめてくれる?
きっと熱い
焼きマシュマロみたいなまぼろし
今はただわたしも
あなたの眠る夜に抱かれて
眠る
やわらかな胸
マシュマロはとろけて
匂い立ち
甘い
吐息
お願いまぼろしよ
囁いていて
見知らぬ誰かと体
重ねてしまわぬように


自由詩 砂浜のマシュマロ Copyright さだあいか (サダアイカ (aika)) 2010-10-01 00:22:51
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