土の中の幼虫は
どこから来るのだろう
やわらかな
よく肥え太ったからだ

手ずから
土から用意した鉢植えなのに
ひっくり返すと何故現れるのか
ときには
五匹も、六匹も

きみたちが
大人になった姿を知らない
生き物が光るわけを
本当には誰も知らないように知らない

けれどもたった一つ
生死に関わらずどんな生き物も
最後には
自分ではない命の糧になれるということ
それがたとえ生きながら、でも
だからこそ

幼虫には
よく注意していなければならない

土の中
心の中に
播いたわけでも
招いたわけでもない何かを
育ててしまっていることがあるのだから

わたしたち
誰でも

　

「砂漠の中の砂時計」より。