夜の中で
シホ.N
冴えわたる空気の中に
まだらに浮かぶ闇の重み
夜は更けつつあるが
時間は闇を支配しない
眠りの底に光のように
拡散しているかそけき時
この部屋はもう暮れてしまって
亡霊たちもやってくるので
あいつらにくれてやる
閉じられた闇で
夢でも見てるがいい
暗黒の空の下
森の樹々は眼を閉じている
樹々の足元で
しだが歯をきしらせている
しだの足元で
こけは地面にささやいている
その地面のずっとずっと奥深く
亡霊や悪夢たちが
いんぎんにひそやかに
破壊の舞いを踊りつづける
地下流の渦は
ごうごうと音をたて
暗黒の空にも昇る勢い