夜の中で
シホ.N



冴えわたる空気の中に
まだらに浮かぶ闇の重み
夜は更けつつあるが
時間は闇を支配しない
眠りの底に光のように
拡散しているかそけき時

この部屋はもう暮れてしまって
亡霊たちもやってくるので
あいつらにくれてやる
閉じられた闇で
夢でも見てるがいい

暗黒の空の下
森の樹々は眼を閉じている
樹々の足元で
しだが歯をきしらせている
しだの足元で
こけは地面にささやいている
その地面のずっとずっと奥深く
亡霊や悪夢たちが
いんぎんにひそやかに
破壊の舞いを踊りつづける
地下流の渦は
ごうごうと音をたて
暗黒の空にも昇る勢い



自由詩 夜の中で Copyright シホ.N 2010-09-29 23:56:58
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