流れ る
鵜飼千代子

          ホルマリン浸陰嚢びちゃり鈍い音を立

                 て

          潰れる   潰 れる    潰     


                      れ       

                           る

         垂れ下がる丁字帯其処もはやそこゲンバクヒロ
         シマ
         ア  ウッ 

                       ア  
    
                 アッ 

                           アッッ
       

                  白衣の天使  



        すらりと登場しなりとしゃがみ銀の勾玉銀の箸  ぷつり 
                    と

        鋭利な    箸 銀の勾玉受けるびちゃり痛い

                     アッ  


               ウ   


       後で先生が見えますから、横になっていてくださいね。
       柔らかな  


         「   細胞は  死んでいました。   」


             サイボウハシンデイマシタ
             サイボウハシンデイマシタ
             サイボウハシンデイマシタ
             サ
           イボウハシンデイマシタサイボウハ

          猫の母とて食らって子を守るなぜあのとき
          のんでしまわなかったのかのんでしまわな
          かったのかのんでしまわなかったのかつる
          りとのどごしいつまでもいられたものをい
          つまでもわたしのちとなりにくとなりにく
          となり憎となり 

          無理をしすぎて出血したと
                      我慢を強いたと

          我慢できなくなったら教えてくださいなど
          がまんできなくなるのがいつだかわからず
          いつまでもいつまでも我慢を強いてでてき
          たうまれたわがこびちゃりしんだふくろを
          やぶいてひらいてめすきるのぞくのぞくい
          きているのかしんでいるのかきょうみしん
          しんのぞくのぞくはいしぼうごしゅうしょ
          うさまでしたおひがらもよくはいおしまい。

         「   細胞は  死んでいました。   」


       我が子すら呑めぬもの 他人のモツなど食らえるものか






            < 7月顔面会提出断念作品 >         
1997.7.4. YIB01036 Tamami Moegi.
初出 NIFTY SERVE FCVERSE 1997.07.25


自由詩 流れ る Copyright 鵜飼千代子 2010-09-29 23:15:33
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