幽霊のダンス
さだあいか (サダアイカ (aika))

あんなに大きかった人が
幽霊になってしまった
行方不明の幽霊
生きているはずなのに
わたしたちは
残念ながら霊感がまったくなくて
幽霊がみえない
幽霊は文字のようで
記憶のようで
素敵な夢のようだ
子どもと手をつないで
暑い町を歩き回り
汗だくでダンスするように幽霊を探して歩く
東京も埼玉も千葉も
美しいものや場所や人や
楽しいものや場所や人を
通り抜けて
幽霊と暮らすためのお金を使い果たすまで
わたしたちは笑いながらダンスを続け
人生の広場の噴水で虹が生まれるようだ
水のかけらが降りかかる
わたしたちはそんな調子で
まだ行ったことのない場所まで
くまなく探し
幽霊を探した
ただわたしたちには霊感がまったくないので
幽霊はみえない
暑い暑い日々
みえない音楽で
踊り続けるわたしたち
口からついて出た
幽霊のお気に入りのメロディー
街中を笑いながら踊り
囁くように音楽をこぼし
わたしたちはたくさんの虹をみて
手を振って
お金を使い果たして
飛行機に乗った
目を閉じるとみえる虹は幽霊とは違うみたいだ
わたしたちには残念ながら霊感がまったくないので幽霊がみえなかった


自由詩 幽霊のダンス Copyright さだあいか (サダアイカ (aika)) 2010-09-29 10:22:35
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