沼田の猫
……とある蛙

沼田城址公園の猫

その猫はチャトラ
顔は大きいが痩せていて
バランスが無い。
愛想が頗る良いが、下品ではない。
飼い猫にしては痩せている。
野良であろうか がっついてる。

のっそりと駐車場脇の茂みから現れ、
鷹揚に近づいてくると
車を降りたばかりの女房の足に
尻尾を擦り付け
にゃーと小声で
そのうちトーンは高くなり
見上げてにゃーと要求がましい声を出す。

何の躊躇もなく女房は
「この子お腹が空いているのよ」
とバックの中からキャットフード
しかも家の猫と同じ奴

「何故持ってるの?」
以前行った観光地で
猫が腹空かせているのに
残飯しかあげられなかったことを
後悔したそうな

留守番する猫もいい面の皮
帰宅したら
きっと不機嫌な声でに出迎える
にゃーっと言って後ろを向くに決まっている

死んだら確実に女房は天国だ。
出先で猫の救世主
気が利かぬ俺は天国にゆけそうもなく
ますます死ぬわけにはゆかないと
がつがつ餌を食べる猫をみて
つい後悔も含め、思ったのです。


自由詩 沼田の猫 Copyright ……とある蛙 2010-09-29 09:54:56
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