吐瀉心
麻生ゆり
疲れているのかもしれない
そう 生きることに
1
ここはいったいどこだろう…?
いや、本当はわかっている
私は私の心の闇に包まれているのだ
暗く重く真っ黒な闇に
私の中で
黒とは醜い色
そして白は清い色
湿った黒い闇はなんと寒いことだろう
だけど私は吐く息すら白くない
あぁどうか
二度と許されない罪を犯した私ですが
せめて灰色の心になれないかしら?
たとえ黒の含有率が高いとしても
汚れなき人はいない
真っ白な心もありえない
そんなことわかりきっているけど
だけどいっそ気づかずいた方が
案外幸せなのかもしれないね
「コギト・エルゴ・スム」
2
潤んだ瞳に映るものは歪んだ世界
それを教えてくれたのはかつて愛した君
真夜中の3時に聞こえた鈴の音は
君は覚えていないだろうけれど
私の耳の奥にとどまって耳鳴りと化した
現実って何?
それはもう自分の五感で
見つけてゆくしかない
教育期間はもう終わって
ただ流れる脳内麻薬に
従うしかない愚かな私
堕落するだけで
伸ばした手を掴んでくれるのは
いったい誰なのだろう?
3
憧れるのは青と黄の瞳の
白い汚れなき猫
そんな神聖な生き物であるあなた様に
いっそのこと縄と鎖で縛りつけられたい
飼われている方がいくばくか自由なのよ
罵倒したいのならそうしてちょうだい
それだけ気にかけられている証拠になるから
独りが怖いなら人といればいい
人が怖いなら独りでいればいい
そんな単純な二者択一に
翻弄される私は本当に馬鹿だ
4
約束なんていらない
垂れ流すだけの言葉に意味なんてない
でも赤い嘘ならかまわない
私を仮に愛してくれるなら
膿の海に沈めてちょうだい
だけどきっと
私は己自身を操れないままに
また暗闇に飲み込まれる
寂滅の瞬間まで