残暑見舞いが来たよ
TAT
大江健三郎をトートバッグに潜ませて
世間知らずで愛する者も拠り所もない
が故に身軽な
今ここで命のやり取りおっ始まってもザッツオーライな僕は
河原町三条で
ガチャガチャうるせぇ右翼のドーベルマンを絞めた
黒服の坊主頭が激昂して
吠えながら街宣カー降りて来たけれど
生憎びびったりする神経の持ち合わせも無い終わってる僕は
神をも省みない渾身のドロップキックで
対向車線の北大路在住の家族連れのマーク?に彼をおもちゃみたいに轢かせて
その後
黙々と何遍も何遍も
ジッポーの角で頭蓋骨を削り続けた
中央車線のど真ん中で
死のうが知るかとその時は思っていた
死ぬその日まで法律が朝昼晩を喰わせてくれるなら
別に良いんじゃねぇの?
所でこいつ、、
結構しぶといなと
そう思っていた
真っ白になって覚めて
自分を奮い立たせてエヴァの初号機みたいに吠えて
又覚めて
それでも頑張ってがっつんがっつんやっていたら
右翼の幹部的な本郷猛チックなおっさんが
丁重にぎゅっと僕の肩を掴んで
『もう堪忍してやってくれないか?』と
重厚に恩着せがましくそう言いやがった
見れば
三条の四車線はルミナリエのような光の束で
何のことは無い十数台のパトカーのライトは
全てが束になって僕を照らしていて
ほんの一時間前と打って変わって僕はトップスター
僕は明日の京都新聞社会面第一欄
いや別に
良いけどさ、、、
こめかみに稲妻
僕は今あれから十数年経って
京都市三条河原町上るの真夜中とは全然別の
兵庫県の田舎に在住の薄給のリーマンだけど
重厚な封書で残暑見舞いが届いて
あん時の坊主頭から『あなたに殴って頂いた日から私は、、』云々の手紙が届いて
おぉ、凄ぇな、、と
そう思いつつ
共産党万歳
同梱の巨峰万歳
よくもまぁ探し当てたもんだダダ漏れの
個人情報万歳
万歳
今夜は
四日月