夏は逝ってしまった
nonya
連休の飛石に
ぽつんと取り残された
ニュートラルな朝
激しい雨と雷鳴に
追い立てられるように
夏は逝った
あまりに唐突に
ぽろんと吐き出された
肌寒い空白
断末魔の雨音と
苦し紛れの稲光を投げて
夏は逝った
ギザギザの
寒冷前線に切り倒されて
深い足跡と
不快な名前だけを残して
叫びと言葉の上に
大の字で寝転んだまま
夏は逝ってしまった
言いそびれた怨み事を
忘れ去りたくて
戸惑うホメオスタシスを
押し止めたくて
ヘッドホンで自分を
塞いでみたけれど
秋はまだ聞こえてこない
喚くだけ喚き散らして
夏は逝ってしまった
塗りたいだけ塗り潰して
夏は逝ってしまった
高温多湿の
がらんどうだけを残して
逝ってしまった