とおく離れた風景
kauzak
運河に架かる橋に立つ
とおく
離れた風景
それは空が広く
開放的な風景でもある
けれど
あるべきものが何もない
陽は
とおく
小さなビルの彼方に落ちて
地平の近く
名残のオレンジ色が消えようとして
そこからグラデーションのように
空が薄紫に発色する
闇を纏う直前に
その空を映して
運河も薄紫に染まり
小波が
乱反射している
ここから
見える風景は
すべてがとおくて
枯れ残ったススキが揺れる
空き地に囲まれて
あるべきものが何もない
寂しさ
不安
運河に架かる橋の
欄干にもたれて
水面を見ていた