ひとのひ
海里
西の国での日没は遅い
けれどもやがて
海にも陸にも火がともる
夕闇の中
黒々と大きなシルエット
あれは火力発電所
もう止められて久しいけれど
取り壊されない
原発に何かあった時には
太古の植物たちを
いつでもまた燃やせるように
宵の空にようやく見えて来た星々
あれは原子の火
今ではひとも灯せるようになった熱い光
星まで行こうというなら
原子の火も必要だろうね
直接には使わなくても
わたしの体の中の生命は
わたしが食べたものを燃やして生きている
生き物が生きるときの燃え方で
燃やし方で
「草冠とレインクラウン」より。