ひもとくこと
Akari Chika

ひもとくこと
ひもとくことを おぼえよう
ねこのみみ鳴り
蜘蛛の巣のひかり
淡くて せつない
綿菓子のような
こはるびよりの
あさひを浴びて
わたしのしっぽは
大きくふれる
幹をいだき
もぐらをたたき
つぶされてしまう
ざっそうの芽も
また いつか
ねむりからさめるでしょう

ひもとくこと
わたしをひもとくこと
きまりごと
その向こうがわで
愛は待っている
ふかく いきを
吸いながら
土のなかで
からだをまるめる
幼いいのち
水色のガラス
きらきらの破片
ほら ひとさしゆびの
つめのさきで
大人になっていく

ひもとくこと
カラを破り 外にでること
くるしいと かなしいと
まちぼうけ
その カラを破ること
ツバメの口笛
化石のおもちゃ
えほんをひらけば
カナでる カエデ
あとすこしだけ
まわりみちをまわったら
てのひらのカラも
捨てるから
おいしいものを
用意して
みんなでたべましょうか

ひもとくこと
かんがえすぎをひもとくこと
解る 解らないを
ひもとくこと

なきむしをひもとくこと
つくりわらいをひもとくこと
ためらいをひもとくこと
うそを ひもとくこと
かこに さよならすること

巻きすぎて
足りなくなったひもを
すべてほどいて
いちから かぞえなおすこと

ひもとくこと
シンプルに生きること
わかばの香りのなかで
まえをむいて
歩くこと



自由詩 ひもとくこと Copyright Akari Chika 2010-09-20 00:09:25
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