叱られたフリーザー
草野大悟
ながいあいだ、そう、ずいぶん、ナガイアイダ
あなたのために
いろんな生き方を
体の中に入れて
冷たく暖めてきたわ
ただ、あなたのためだけにね
今年の夏は
死にそうな暑さが続いて
あなたの心臓にも負担がかかる
そう思って作ったのよ
慢性心不全のあなたの心が
少しでも楽になるように
そう思って、めいっぱい作った
それを、あなたは
加減というものを知らない
こんなバカみたいにいっぱい作って
お前、アホか!!
そう貶した
あなたのこと思って
あなたが心から愛してるひとに
あのころのように、もう一度だけ
私の扉を開けて欲しくて
頑張ったのに、アホか!! なんて
涙がぽろぽろ出てきたけれど
あなたに見られるのがシャクで
明日から
一切
作るのやめる
そう決めたの
あなたは
おろおろして
どうした、なにヘソ曲げてんだ
なっちゃん〜あなたが勝手につけたこの名前、私嫌いなんだけれど〜
と、私を、やさしく抱いてくれた
ケドね
あの くやしさは消えなかった
それで
作らなかったのよ
あなたを とことん困らせたかった
おろおろ顔のあなたに
ざまみろ、と言いたかったのよ
ね、分かる?
そんな私が
なんで、また、作るようになったか
分からないでしょうね
あなたには一生
その答を探すことを
あなたたち二人の
これからの宿題にして
しばらくの間
氷 作ってあげる
やさしいでしょ、ワタシ