駐車場
松本 卓也
不意に月が揺れて
ぼんやりと座り込む
誰も居ない駐車場
くたびれた溜息を
大きく一つ小さく一つ
今日は何をして過ごしたのか
振り返りたくないことばかり
明日は何をして過ごすのか
想像すらしたくない
だって何年も前から変わらず
同じようなことを繰り返しているだけ
人生の全てが一枚のキャンバスに
収まってしまいそうなほど
何も起こらないんじゃなく
起こったことから目を背けていたいんだ
空疎な時間に敷き詰められた質量は
息も出来ないほどに重く
掴んでも掻き消えそうに軽い
天井の錆びた鉄骨に
蜘蛛の巣が幾つも張っている
昨日より穏やかな風が
胸を通り過ぎて壁に反射し
小刻みに揺れる蛍光灯の明かりを浚う
もう帰ろう
誰も居ない部屋にだけど
このまま叫ぶよりマシだから