駐車場
松本 卓也

不意に月が揺れて
ぼんやりと座り込む
誰も居ない駐車場
くたびれた溜息を
大きく一つ小さく一つ

今日は何をして過ごしたのか
振り返りたくないことばかり
明日は何をして過ごすのか
想像すらしたくない

だって何年も前から変わらず
同じようなことを繰り返しているだけ
人生の全てが一枚のキャンバスに
収まってしまいそうなほど

何も起こらないんじゃなく
起こったことから目を背けていたいんだ
空疎な時間に敷き詰められた質量は
息も出来ないほどに重く
掴んでも掻き消えそうに軽い

天井の錆びた鉄骨に
蜘蛛の巣が幾つも張っている
昨日より穏やかな風が
胸を通り過ぎて壁に反射し
小刻みに揺れる蛍光灯の明かりを浚う

もう帰ろう
誰も居ない部屋にだけど
このまま叫ぶよりマシだから


自由詩 駐車場 Copyright 松本 卓也 2010-09-17 23:40:15
notebook Home