航海
たもつ

 
 
母は毎日サンドイッチに
海をはさんで食べていました
そうすればいつか船に乗って
父が帰ってくると信じているのです

花言葉は覚えていても
花の名前は忘れてしまう
そんな母でした

父はベッドという船に乗って
天井を見ながら
ここは俺の家ではない、と
今日も頑なに言い張ります

海の男でした
立派な船乗りでした
 
 


自由詩 航海 Copyright たもつ 2010-09-17 21:48:40
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