ララバイ、瞬間に
るか
こわがらないで、どうか
時代がどんなに残酷で 悲惨で
心を破滅させるものであったとしても
きみにはいつだって、辿りうる帰途があるね
ここに、きみの国があるから
こわがらないで、どうか
シーツのうえの暗がりの中で
細い君の腕が 夜よりも黒々として
世界の人々の血飛沫に 塗れているようにみえても、
夢の中にはいつだって 優しい真実が、眠っているから
おお ごらん
他人の人生のような静寂の中で
目なら閉じたままでいい
重ねてきた諍いを
数え上げるような日々の移ろいの途上
その目的と意味とだけは、どんなにか輝かしいだろう
もうまもなく、
季節は 秋を迎える
足りないものが いつも
一抹の勇気であったことを
眠れない夜は 今日も
やさしいオルゴールの旋律のように
縺れ合う 心臓の鼓動のように
教えてやまないのだ
二人へ