懐中時計
ワタナベ

黄昏砂浜
半分埋もれた懐中時計は
壊れて逆回転をします
長針の影が伸びてきて
足元までは届かないまま
夜に溶けていきます

思い出と名のつくものは
一歩踏み出せば届きそうなところで
いつも溶けてなくなってしまうけれど
振り向けば
それは咲いているでしょう
海までひとすじの花の道
花の名前を呼びましょう
一輪一輪、素敵な名前
花の名前を呼びましょう


自由詩 懐中時計 Copyright ワタナベ 2004-10-19 08:44:27
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