黒板
たもつ
今日、先生は優しかった
黒板に大きな
黒板の絵を描いてくれた
それから、ぼくらの名前を
ひとりひとり読み上げて
絵の黒板に
名前の絵を描いていった
校庭の先にある建物の方から
銃撃戦の音が聞こえる
死んだヒトの数で
ヒトはその事実の大きさを伝えようとする
その方がいろいろな面で
きっと楽なのだろう
それから先生はみんなに手づくりのお菓子を
配る絵を描いてくれた
どちらが見送る側で
どちらが見送られる側か
わからないけれど
もうお別れなんだな、と思った
お礼にぼくらは大きな声で歌う
そんな絵を描いた
ぼくらは
生きるために産まれてきたのではなく
産まれるために生きてきた
そう信じても
許される気がした