毒りんご
空美

鏡の中のあたしは
毒りんごを持ったお婆さん
あの娘の笑顔を壊したい
醜い心のお婆さん

優しく近づき猫なで声で
このりんごを差し出せば
きっと食べてくれるはず
疑うことなどないままに

そしてあの娘の笑顔が消えたあと
あたしはやっと笑えるの

だけどあの娘は目覚めてしまう
泣いてくれる小人たち
口付けくれる王子様
おとぎ話はいつだって
主人公の味方だから

鏡の中のあたしは
毒りんごを持って泣いていた
あの娘の笑顔が壊せないと
歪んだ顔で泣いていた

だからあたしがりんごを食べる
醜くい心はいらないの
あたしがりんごを食べる
最後に悪者はいなくなるのがおとぎ話


自由詩 毒りんご Copyright 空美 2010-09-14 12:09:40
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