かがり火
真島正人
窓をじっと眺めていたら
動物が走りすぎてゆくのが見えた
まずはじめは弱い動物
次には強い動物が
僕が見ている目の前で、弱い動物は追い付かれ
足の骨を突き出したかっこうで殺されて食われてしまう。
肉が飛び散り、
匂いがした。
僕はキッチンから
ウォッカを
水割りにして戻って来て
惨事の場所を見つめた
もう痛みを感じない弱い動物の肉体が
痛そうに食いちぎられてゆく
僕はウォッカを飲む
強い動物は肉を食らう。
それから
惨劇の場には血の匂いを木霊させて。
強い動物は去ってしまう。
僕は窓を開けて
ウォッカの残りをそこから捨てて
先ほどの惨劇の場が
家の庭だと気がつく
あの弱い動物は
土の中に消えた。
あの強い動物は
他の草原へと戻った。
でも僕の家庭にはまだ火がついている