かがり火
真島正人

窓をじっと眺めていたら
動物が走りすぎてゆくのが見えた
まずはじめは弱い動物
次には強い動物が
僕が見ている目の前で、弱い動物は追い付かれ
足の骨を突き出したかっこうで殺されて食われてしまう。
肉が飛び散り、
匂いがした。
僕はキッチンから
ウォッカを
水割りにして戻って来て
惨事の場所を見つめた
もう痛みを感じない弱い動物の肉体が
痛そうに食いちぎられてゆく
僕はウォッカを飲む
強い動物は肉を食らう。
それから
惨劇の場には血の匂いを木霊させて。
強い動物は去ってしまう。
僕は窓を開けて
ウォッカの残りをそこから捨てて
先ほどの惨劇の場が
家の庭だと気がつく
あの弱い動物は
土の中に消えた。
あの強い動物は
他の草原へと戻った。
でも僕の家庭にはまだ火がついている


自由詩 かがり火 Copyright 真島正人 2010-09-14 01:52:26
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