gone
Akari Chika

音が
消えた

僕の好きなうたが
どこかへ逃げ出した

口笛は
明るく
響くけど
本当はつらい顔をごまかしたいから

行ってしまったんだ
ほっぽらかした
僕のギター  あのこと一緒に

長い年月が
長い月日が
絡まるように
すてきなうたを奏でていたのに

僕の指の腹は
なつかしそうに
空を見てるよ

空いっぱいに
広がった
懐かしいあのうたを見てる

愛していたのに
言えなかった
僕の口は
口笛を吹くのに忙しかった

それは
むなしさをごまかすためだったのに

胸がザワザワしても
もうメロディはおりてこない

音が
どっか
行ってしまったんだ

陽のあたる部屋
うつむいて
一杯
のんでみる

きみからもらった
きみが大好きだった
あんなに素晴らしい
あのメロディも

いつの間に
はなれていってしまったんだろう

僕の好きなうた
まるで最初から
僕に優しい嘘を
ついていたみたいに

いなくなってしまったんだ

口笛が
美しく
響くのは

そこに何もないから

音が
消えた

あんなに
愛してくれたのに

まるで夢だったみたいに


自由詩 gone Copyright Akari Chika 2010-09-13 15:38:22
notebook Home