lime ice
Akari Chika

at 4:00 PM

渇き疲れた 繭の空

絹糸が
照らす
遊歩道

南の国の
入口を抜けると
幼いわたしが
立っていた

冬に咲く
紫陽花のような
ちぐはぐな気持ち
持て余す

あの日
水玉の
ワンピースを着た
おばあちゃんは

子犬を撫でて
恥ずかしそうに
笑った

ビューティフル、
ビューティフルグランドマザー

家族と
アイスを
食べようか

そう言って
過ぎてった
夏の夜の庭

どうして
いつの間にか
わたし

こんなに
時の道を
歩いてきた

髪は肩の下まで伸びて
爪はきらきら光らせて

不思議

奇妙な
幸せを
覚えた。

誰か

わたしの胸の内を
ひとさじでもすくって

その舌で
溶かして

抑えようのない
未熟さを

その舌で
溶かしてよ

真夏の庭に
置き忘れた
lime ice

小さな
わたしに
突き刺さった

小さな
トゲを抜いてくれた
大きな手


てのひらを
広げると
あなたの顔が
浮かんでくるよ

梅雨が明ける
もうすぐ
梅雨が明けるよ

いつか
待ち焦がれた

夏が来るよ





自由詩 lime ice Copyright Akari Chika 2010-09-12 15:22:00
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